箱根寄木細工とは
箱根寄木細工の概要
1.箱根寄木細工とは
違う色の木をそれぞれ寄せ集めて模様を作り出す技術のことです。
模様は60種類ほど存在しますが、配色や木材を変える事によってもっと多くの模様を作り出すことができます。
2.箱根寄木細工の特徴
加工されていない木の色合い・風合いを感じるとともに、職人達の技術によって生まれた美しい模様が特徴です。
木材のパーツを組み合わせて模様を作り出した種板(たねいた)をもとに、カンナで種板を1枚の紙のように薄く削ったズクと呼ばれるものを、木製品の表面に貼る「ズク貼り」と、種板をそのままろくろなどで削り出し作品にする「ムク作り」の二つがあります。
ズク貼りのズクは厚さ0.15~0.35mmととても薄く、様々な木製品の形にあわせることができます。対してムク作りはズク貼りのように量産はできないものの、削る角度によって模様が大きく変わるため、様々な表情を見ることができます。
使用する木材
無垢材と呼ばれる1本の木から数本しか手に入らない、加工がされていない木材を使います。
無垢材は吸湿性や放湿性もあり季節の気候の変化にも対応し、快適な環境を保つことができる為、家具やインテリア雑貨などにも使われています。
金指さんの工房ではおよそ10種類の木材を使っており、外から仕入れる以外に、ご自分で木を植えて育てたりもしています。ここでは、使用されている木材の中からいくつかご紹介します。
●パープルハート:別名「バイオレットウッド」。綺麗な紫色の木材です。
●苦木(ニガキ):黄色に近い色をしており、その名の通り苦みがあります。胃の薬として漢方でも使われているそうです。
●埋もれ木:倒木してから数百年地中に埋まっていた木のことで、その貴重さと美しさからから神代(じんだい)とも呼ばれます。地中にある間は酸素に触れることがないので、腐敗することなく、独特な色合いに変化します。
箱根寄木細工の歴史
1.はじまり
箱根・小田原地方では豊富な木材を使って、ろくろを使ってお椀などを作る挽物細工(ひきものざいく)と、板を組み合わせて箱や箪笥を作る指物細工(さしものざいく)を「箱根細工」として生み出してきました。
戦国時代から作られていた挽物細工が特に盛んでしたが、江戸時代後期、畑宿(はたじゅく)に住んでいた石川仁兵衛(いしかわにへえ)が、
静岡で生まれた寄木細工の技術を応用し「箱根寄木細工」を考案したことによって、指物細工も増えていくようになります。
2.発展
小田原と箱根の中間にあった畑宿はその名の通り宿場が多くあり、東海道が整備され旅人が増えると土産物としても人気となりました。
また、木工を生業とする職人も多かった為、明治時代には複雑な文様(模様)が作られるようにもなりました。
3.国の伝統的工芸品に指定
昭和59年、通商産業大臣より、箱根寄木細工は伝統工芸品に指定されています。