つくり方
作業工程(鋳型~鋳造加工)
1.鋳型
まず、木や石膏で作った原型を元にして砂型を作ります。出来上がった砂型に真鍮地金合金を流し込んで金型を作り、その金型を組み合わせて、ようやく鋳型が完成します。鋳型の善し悪しが製品の表面の滑らかさを左右するため、熟練の技が必要な工程です。
2.鋳型への彫刻
出来上がった鋳型に模様を彫り上げる作業は、アンチモニー工芸品の全行程の中でも最も熟練を要する作業です。模様を反対に彫り込めるように図柄を写し取り、魚子紋様などの繊細な模様を彫り込みます。
3.鋳造加工
鋳造方法には、焼き吹き、戻し吹き、冷吹き、地金吹きの4つがあります。
- 焼き吹き・・・300℃~350℃の炉の中で、地金が溶けて流れるまで鋳型を熱し、湯を注ぎ込みながら徐々に水で冷やしていく、最もメジャーな鋳造方法です。鋳型を水に浸して、鋳型内の温度を職人の勘で下げつつ、鋳型を傾ける角度により湯の流れと空気抜けの微妙な調子をとる技は、まさに職人芸です。
- 戻し吹き・・・湯を型の湯口より注ぎ込み、10~15秒後に型を逆さにして中の湯を外に空けることによって、型の内側に湯を貼り付けて成形する方法です。内部が空洞でザラ肌が残るため、置物や内張りを施す宝石箱などの製品に用いられます。
- 冷吹き・・・焼き吹きの水冷をしない簡単な方法です。小さな製品向けです。
- 地金吹き・・・溶解してある地金の上に型を浮かせて熱する方法です。こちらも小さな製品の鋳造に向いています。
作業工程(まとめ加工~塗装)
4.まとめ加工
鋳造された製品は「まとめ屋さん」と呼ばれる職人によって、仕上げ加工が施されます。キサゲやヒッカキと呼ばれる道具を用いて、金型の合わせ目が目で見ても判別がつかなくなるまで製品を丁寧に仕上げ、まとめ上げて行きます。
5.研磨
次のメッキ加工に移る前に、製品の表面をしっかりと研磨します。研磨が十分に施されているかが、メッキの善し悪しを左右します。
6.メッキ
製品によって金、銀、銅のメッキ加工を施しますが、下地としてまず銅メッキが必ず施されます。下地の銅メッキの上に着色をして、錆止めのエナメルを塗装する場合もあります。
7.塗装
メッキ加工後、錆を防止するために透明な塗装を施して完成です。