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江戸木目込人形とは

手のひらサイズの小さな男雛

“木目込み”は”決め込み”から
~小さな人形に伝統の技が冴える~

木目込人形とは、桐塑(とうそ)で作った原型に筋彫りを入れ、筋彫りに目打ちなどで布の端を押し込んで衣装を着ているように仕立てた人形です。
この筋彫りに布の端を押し込む動作を「木目込む(決め込む)」ということから、木目込人形と呼ばれるようになりました。
江戸木目込人形は、比較的小ぶりなものが多いですが、この小さな人形には、伝統に裏付けされた多くの技が詰め込まれているのです。

昭和初期の木目込人形(大きさは5cmほど) ―作者不詳―

京から江戸へ
270年の時を超えて

今から約270年前の江戸元文年間(1736~41)、京都の上賀茂神社に仕える雑掌の高橋忠重が作った小さな人形が「木目込人形」の始まりとされています。
忠重は、奉納箱を作ったあとの余材の柳の木に木彫をほどこし、溝を掘り、そこに神官の衣裳の端切れをきめ込みました。これが「木目込人形」の名の由来です。

当初は加茂人形として評判を呼び、この加茂人形が江戸に伝わり、江戸風に洗練されて発達したものが現在の江戸木目込人形です。

四代目名川春山氏晩年の作 ―弁慶―

昭和53年、国の伝統的工芸品として指定
東京都と並んで埼玉県も一大産地に

「江戸木目込人形」は昭和53年、国の伝統的工芸品に指定されました。
東京都並んで古くから木目込人形の産地であった埼玉地区もこのとき同時に指定を受けています。

伝統的な技法を守って作られた雛人形

由緒正しい製法を
なるべく後世に残すべく

「江戸木目込人形」の指定を受けた当時、通産大臣が指定した要件は以下のような内容でした。
現在では、価格的にも部分的に現代的な材料を使用することが多々ありますが、工芸士の方々には、基本的な技法はしっかりと守る意識が根付いています。

伝統的な技法を後世に残すためにも、消費者側の我々がただ安い物を求めるのではなく、本当に価値のある物を適正な価格で購入する意識を持つことも忘れてはならないと感じています。

【伝統的な技術・技法】

  • 素地は桐塑とし、地塗り、切り出し等を行った後5回以上の上塗りをする。
  • 着付けは筋みぞにのりづけした後、木目込みをする。
  • 面相描き(めんそうがき)は面相筆を用いて行い、目入れ、まゆ、毛描き及び口紅入れをする。
  • 毛吹きはスガ整えの後スガ吹きをする。

【伝統的に使用されてきた原材料】

  • 桐塑に使用する用材は桐とする。
  • 素焼き頭に使用する粘土は白雲土(はくうんど)又はこれと同等の材質を有するものとする
  • 着付けに使用する生地は絹織物又はこれと同等の材質を有するものとする。
  • 髪に使用する糸は絹糸とする。
  • 引用:東京の伝統工芸品-東京都産業労働局商工部-

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