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つくり方

動画作成中です。しばらくお待ちください。

【動画(作成中) 】制作期間はなんと半年!
葛飾北斎人形の製作過程を追いました

最初に塚田工房様にお邪魔させていただいたのは、2017年4月初旬でした。その時は人形造りの基礎段階である、生地造りの真っ最中でした。
構想段階からすると、人形製作はその時すでに4ヶ月がたった頃でした。
その人形は、6月に墨田区で行われる展示会に出展するために製作されるということで、題材として選ばれたのが土地にゆかりのある葛飾北斎です。

完成までの過程をわかりやすく動画に編集いたしました。
製作の各工程はこのあとの項でご案内いたします。

珍しい木製の原型と完成品の組み合わせ。

四代目が残した珍品
木製の原型と完成品が揃うのは稀

撮影にお邪魔した塚田工房様のショーケースに大事に展示してあった二体の人形は、今では大変珍しい木製の原型と、その完成品です。

塚田様の祖父で四代目の春山氏の作品で、戦争を題材とする人形も大変珍しく、木製の原型を使用した木目込人形は、今では生産されておらず、ましてやその完成品と原型がセットで揃うことは滅多にないそうです。
塚田様は、この木製の原型を偶然インターネット上で見つけ、買い求められたのです。

塚田工房様では、こういった珍しい人形や江戸木目込人形の製作方法などをわかりやすく展示した博物館を併設していらっしゃるので、興味がある方は是非お立ち寄りください。塚田工房様HP

原料はあくまで自然素材。

原型の材料は桐(きり)のおがくず
正麩糊(しょうふのり)を混ぜて固めると理想的な硬さに

江戸木目込人形に用いられる原型の材料となるのは、主に桐(きり)のおがくずです。

桐のおがくずに、正麩糊(しょうふのり)と水を適度に混ぜて固めると、硬さと軽さを合わせ持った理想的な人形の原型が出来上がります。

正麩糊の原料は、小麦粉から抽出したでんぷんです。小麦粉に少量の塩水を混ぜて餅状にし、しばらく置いた後水中で揉むと、小麦粉の中のグルテンが凝縮分離して沈殿します。
その沈殿した粉をさらに精製したものが正麩糊の原料です。

正麩糊は、文化財の修復に欠かせない接着剤として、現在でも多く使用されています。

代表的な道具たち

道具はそれほど必要なし
ヘラと筆と、あとは腕

木工製品であれば数十種類のノミやカンナを使い分けたりしますが、江戸木目込人形の製作に必要な道具は、それほど多くありません。
必要なのは、数種類のヘラと数種類の筆といったところで、大がかりな電動器具などは工房のどこにも見当たりません。

撮影にお邪魔させていただいた塚田工房様では、江戸木目込人形の製作体験を受け入れておられますが、手軽に出来る伝統工芸体験として大変人気があります。

桐塑を塗り固めて頭部をつくる。

【生地造り】
軽くて丈夫な桐塑頭(とうそあたま)

桐塑(とうそ)とは、桐のおがくずと正麩糊を混ぜて塗り固めたもので、軽くて丈夫なため、昔から人形の原型として用いられて来ました。

人形の胴体を量産する場合は、桐塑を「かま」と言われる型に流し込み、固まったものを抜いて乾燥させます。
胴体の生地を専門に作る職人がいて、多くの工房では、専門の職人から生地を仕入れて人形製作することが普通です。

出来上がった生地は、表面を胡粉(こふん)という、貝殻にニカワを混ぜたものでコーティングします。

木目込みベラでしかっかりと木目込む。

【木目込(きめこみ)】
ここが腕の見せ所

生地に掘った溝に糊を入れ、型紙に合わせて切った布地を目打ちや木目込みべらを使って、しっかりと木目込みます。

人形に着物を着せるのではなく、生地に掘った溝に布地を差し込んで一体化させるこの工程が、江戸木目込人形の最大の特徴でもあります。

面相筆で一体ずつ手描きする。

【面相描き(めんそうがき)】
手描きだから一体一体表情が違う

人形の顔の製作は、頭造り専門の職人がいるほど重要な工程であり、人形の命と言われています。
筆一本で様々な種類の人形の表情を表現するには、長年の経験が必要であり、職人のセンスが問われる非常に繊細な作業と言えます。


髪をきれいにとかせばようやく完成です。

【毛吹き(けふき)】
いよいよ仕上げ段階

人形の髪にはスガ糸と呼ばれる、ヨリをかけない絹糸を黒く染めた糸を使います。糸を櫛で良くとかし、先をきれいに切り揃えて糊付けします。

髪は最初短い部分から付け、次に長い髪を毛彫りした穴の中に順々に目打ちで植え込んで仕上げます。

人々にやすらぎと癒やしを与える人形はこうして作られるのです。

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