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江戸木版画とは

『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』-葛飾北斎-

江戸木版画の概要

1.江戸木版画とは

江戸木版画は、日本独自の多色摺り木版画の技術です。
下絵を描く絵師、絵柄の色ごとの板木を彫り上げる彫師に加え、馬連(ばれん)で和紙に絵柄を摺り重ねて作品を仕上げる摺師(すりし)の三者による分業が、世界に類を見ない高度な技術を生み出しました。

2.江戸木版画の特徴

江戸木版画は、彫りや摺りの高度な技術に加えて、大胆な構図や繊細な色彩が世界の芸術家に多大な影響を与え、ゴッホやモネなどの西洋の画家が好んで模写したことでも知られています。

江戸木版画の材料

1.木

版木には、山桜の一枚板が使われます。山桜は摺りの摩擦に耐える硬さがあり、木目が細かいことや湿度の変化による板の反りや収縮が少ないことが特徴です。繊細な彫りや、何枚もの版画を摺りあげるためには山桜の木が適しています。

2.和紙

仕上がりまで幾度となく重ねられる馬連(ばれん)の摺りに耐えつつ、木版画特有の鮮やかな発色と温かみのある風合いを生み出すためには、日本古来の和紙が欠かせません。

3.絵具

天然の鉱物や植物などから採取される顔料を中心に使います。浮世絵の輪郭線となる墨のほか、赤、青、黄を基本に、顔料を混ぜ合わせて複雑な色を表現しています。
摺師は、版木に彫られた絵柄と版下絵(原画)を見比べながら、和紙の色味や絵具の染み込み具合を計算して色を調合していきます。

江戸木版画の歴史

1.はじまり

約200年前、江戸の庶民が気軽に楽しめる多色刷りの印刷物として浮世絵木版画が大流行し、今に続く江戸木版画の技術と文化が確立しました。

2.発展

町人文化が花開いた江戸時代後期、木版画は、庶民が日常に使用する新聞や雑誌といった媒体を手工で印刷する役割として、庶民の生活に浸透しました。江戸時代の人々は、浮世絵版画を通して生活全般の最新情報を手にしていました。
その発展を支えたのは、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重といった江戸の天才浮世絵師たちの活躍です。彼らは競い合うように新しいデザインの浮世絵木版画を発表し、日本独自のユニークな印刷文化を創り上げました。

3.国の伝統的工芸品に指定

2007年、江戸木版画は経済産業大臣より伝統的工芸品に指定されました。

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